かたちとコンテクスト−引用による都市連鎖的ノート ここでは巷に溢れる名キーワードの、とりわけ都市連鎖的読み方を紹介する。特に事物が成立する上での基本概念「かたちとコンテクスト(キーワード3)」は今回の主人公であり、論理の導き役である。これらの引用を活用した上で、後に都市連鎖を《詠む》にあたっての、さらなる拡張キーワードを提案してみたい。
●キーワード4 セミラチス∋ツリー
今まで不当に見過ごされてきたツリーとセミラチスの連続性。これまで両者は、断絶的に語られすぎた。両者の関係性を認めることは、ある限られた目的によって製作された事物が、なぜ他の目的を持った事物になりうるのかという神秘に対して、決定的に有効である。その関係性は実はこの用語の発明者であるアレグザンダー自身が、論文「都市はツリーではない」末尾の絵画論を用いて、既に示唆的に述べていることでもある。
まずツリーとセミラチスとは、小さなシステムがどのようにして大きく複雑なシステムを形成するかについて考える方法であり、その違いは図のようにあらわすことができる(図A)。ツリーでは各エレメントは一義的でその集合に全く重なり合いがない。車道は車道であり、歩道は歩道である。一方セミラチスでは一つのエレメントは多義的で、さまざまな集合に属している。伝統的都市が豊かで多様な生活をもたらすのは、その構造がセミラチスになっているからである。車道が一時の祝祭空間となるように。
それに対して、計画者が作った新しい都市は常にツリーである。というのは、人間がデザイン的課題を解決するためには、その解法を単純で明快なツリー構造にしないかぎり把握しずらいからである。この限界性もまた基本的な人間の能力である。
しかしながらセミラチスは、そこに時間差を含めれば、実は事物の一義的状態としてのツリー構造が重合したものとして解釈できる(図B)。つまり両者の対立は、時間概念を含めれば、連続的になる。祝祭空間として用いられた車道は、同時に時の車道にはなれないのもまた真である。
(中谷)
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