新しすぎるから禁止!

1928年

 

 建築家アドルフ・ロースが書いてきた。

 

 エンジニアのエルヴィン・レスラー氏が投書に書かれていたことに対していくつか申し上げたいことがあります。彼が述べられている意見は、私たち建築家にとって何ら新しいものではありません。もう長いこと頭を悩ませてきた問題です。第一に、有史以来、建築家は新しい様式の建築物を町の景観にであれ田園風景にであれ、ただの一度も溶け込ませようとは考えてきませんでした。建物を景観に溶け込ませようとする態度は、鉄道であれ、女性のショートカットであれ、男性の短髪(ナポレオンカット)であれ、水平屋根であれ、何か新しいものごとが発生するたびにあらゆる進歩を阻止しようとし、常に同じ労働に執着する市民の信心ぶった望みから出ているにすぎません。そんないじましい努力が建築法に反映され、ドイツのいくつかの都市(ローテンブルク・オプ・デア・タウバー、ニュルンベルク)では新しいものに難癖をつけるひとびとの楽しみとして厳密に遵守されてきたのです。

 しかしやはり都市の中心部となると、進歩は阻止されてはならないものです。そのつど登場する新しい建築家が作り出す、変わりゆく様式の中にこそ美はあるのであり、たとえそれが市民の目には異質なものに映ったとしても、結局誰もが美しいと感じるようになります(その典型がベネツィアのサンマルコ広場)。もし仮にニュルンベルクの都市建設局がベネツィアに1000年前から存在し、新しく登場する様式を美的問題から否定していたら、サンマルコ広場はもっと美しくなったでしょうか?そんなことはないでしょう。水平屋根も、セントラルヒーティングや給水設備、電気照明などと同じように現代建築に属するものです。辺鄙な片田舎では電気照明がなかなか浸透しないという現実もあるでしょうが、だからと言ってそうした文化的な要求を断念したり、ひとびとに反対するよう求めたりすることは誰にも許されることではありません。

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