高過庵はどきどきする建物だった。

 それは、私が子供の頃憧れていた木の上の家に似ていた。でも何か違った。私の知っている木の上の家は木の葉っぱや枝の中にあるものであって、高過庵は葉っぱとか枝はなかった。建物が長い木の幹によって持ち上げられていた。今まで見た事ないのに、懐かしさを感じ、また、あたらしさを感じ、いろいろな感情を感じた。どのテクスチャーがいいとか、形がいいとかではなくて、全体の雰囲気とそのものの感じが良過ぎる。

 高過庵に上ってみると、中は以外に普通の感じだった。(もちろん眺めは最高だけれど)そんな風に感じてしまっているときに、一緒に上った子が動いたことによって高過庵が揺れた!!!そのとき、私は他のどの建物でなく、高過庵に上っているのだ。と感じた。またどきどきしだした。たぶん今の技術では高過庵を揺れないようにするのは簡単だっただろう。でも、そうしなかったのには意味があるのだと思った。